ニュース等で問題になっているプラごみ問題。私達にできることは何があるでしょう?
2020年7月からレジ袋有料が義務化されましたね。
その頃から、「SDGs(持続可能な開発目標)」、「サスティナブル(持続可能な、ずっと続いていける)」、「エシカル(人や環境、社会、地を大切にする考え方や行動)」という言葉も世に広まっていたと思います。
これらの言葉は特に地球環境に関わる取り組み対して使われることが多いです。
環境問題は何年も前から世界で取り組んでいる事ですが、ここ数年の間で大々的に注目されてきています。
その中でもプラスチックのごみ問題は特に課題とされています。
プラごみは私たちの意識で減らすことができ、より良い環境へと導けます。
では、現在のプラごみ問題の現状や私達にできることは何なのか見ていきましょう。
プラごみの現状は?日本でもプラごみは海に流れている?
プラごみのほとんどは私達の身近なペットボトル、ビニール袋、家電、食品容器、化学合成繊維の衣類などから発生します。
そして街で出たプラごみは様々な影響を受けて海へ流れます。
それを海洋プラスチックと呼びます。
街から海に流れるプラごみは7~8割で、その量はなんと年間800万トン(東京ドーム7個分)です。
環境省の調査によると、そのうちの2~6万トン(東京タワー5個~15個分)は日本からのものだと言われています。
800万トンの1割にも満たしませんが、それでもかなりの量です。
このまま海へ流れるプラごみが増え続けると、、、、、、、
2050年には、海にいる魚の量を海洋プラスチックの量が超えることになります。
海に流れたプラごみは海岸での波や紫外線などの影響で小さく砕け粒子になります。
5mm以下まで小さくなったプラスチックをマイクロプラスチックと呼びます。
マイクロプラスチックは自然分解することが無く、自然界にずっと残ってしまい、
マイクロプラスチックを魚たちがプランクトンや餌と間違えて食べてしまいます。
そのマイクロプラスチックを食べた魚たちを私達は刺身や焼き魚などで美味しく頂いていますが、イコール私達の体の中にもプラスチックが侵入しているということになり、微量でも積み重なると体内に溜まり、体に悪影響です。
そもそもなぜ街のごみが海へ流れ着くのか。
1番の理由はポイ捨てです。
街に散らばっているごみが風や雨で川や排水溝に流れて、海に流れ着きます。
1995年の地下鉄サリン事件以降テロ防止目的で街のごみ箱は減りポイ捨てが増えてしまい、喫煙所の減少でタバコの吸い殻も街で見かける回数は増えたのではないでしょうか。
ごみを持って帰るのは面倒ですが、いずれそのごみは私達の体に行き着くこと知っていればポイ捨てを止める意識に変わると思います。
私達にできることは?
深刻なプラごみ問題を見過ごすことはできない今、私達はどう向き合い、どう協力すればいいのか。
まずは簡単なことから始めましょう。
例えば、
・マイバッグ持参
・マイ箸・スプーン・フォーク・タンブラー持参
・水筒を持参
・天然素材で作られたモノを選ぶ
・詰め替え用洗剤等を使用
・プラごみを分別し、リサイクルに協力する
・ごみ拾いをする
など、すぐに実行できることはありますね。
他には
・カフェに行く時はマイタンブラーやコップ持参する
(マイタンブラーやコップ持参で割引のあるカフェがあります)
・捨てても土に戻る竹素材で作られた竹歯ブラシに変える
・洗濯時に出るマイクロファイバー
(ポリエステルやナイロンなどが原料の合成繊維)が海に流れないように絡め取ってくれる商品を使う
・残布や残糸をアップサイクルしているアパレルメーカーの服を買う
など今、プラごみを含む環境問題に取り組んでいる企業や商品が多いのでいつもの行動にも環境に配慮してプラごみを減らしていきたいですね。
※環境問題への取り組みをアピールして商品を高く販売したり、環境に良くない製造方法をしている企業もあるので気を付けましょう。
生活の中で「プラスチックが含まれているモノは一切使わない!」というのは難しいですが、減らすことはできます。
リサイクルする方法、何にリサイクルされるのか?
リサイクル方法は主にマテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルの3つに分けられます。
① マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルとは、製品を原材料として再利用するもの。
同じ分類の資源に再生できます。
何にリサイクルされるのか?
・ビニールハウスのフィルムやマルチフィルム→水切りネット・レジ袋・ごみ袋
・トレー、レジ袋、お菓子の袋→水切りネット・レジ袋・植木鉢
・ペットボトルのキャップ→クリアファイル・名刺・ボールペン
・発泡スチロール→クリアファイル・名刺
② ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを科学的に分解して化学原料に再生し、再利用するもの。
何にリサイクルされるのか?
・石油から作られた廃プラスチックを油に戻す「油化」
・製鉄所で鉄を作るために行われる「高炉原料化」
・化成工場、高炉、発電に利用できる「コークス炉化化学原料化」
・廃プラスチックを分子レベルまで分解し他の化合物として利用する「ガス化」
③ サーマルリサイクル
サーマルリサイクルとは、熱回収・エネルギー回収と言われ、廃プラスチックを焼却する際に出たエネルギーを利用するリサイクル。また、分別しきれない廃プラスチックや、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルにできないモノを再利用できる。
何にリサイクルされるのか?
・「火炉格子焼却炉」
廃プラスチックを乾燥、燃焼、後燃焼と移動させながら加熱する焼却炉で、その際にでるエネルギーを利用したもの。
・「流動床焼却炉」
継続的に砂と空気が送り込まれている加熱した壺のような機械に廃プラスチックを入れて焼却される方法で、その際にでるエネルギーを利用。
・「ガス化溶融炉」
コークス、石炭石と廃プラスチックを一緒に高温で加熱しガス化することにより発生した熱や炭化物を回収し利用可能な資源に再利用する仕組み。
回収されたエネルギーは火力発電や温水プールに利用されている。
マテリアルリサイクルは、モノ→モノ
ケミカルリサイクル は、モノ→熱量
サーマルリサイクル は、モノ→エネルギー
それぞれ再生方法は違いますが、できるだけ単純な焼却や埋め立てを減少させるための
方法です。
リサイクルされているものは、ほんの一部!
プラスチックは、リサイクルされるもの。
私達が使っているプラスチック製品は‶何か″からリサイクルされたものだと思いますよね。
実は世界的に見て約90%のプラごみはリサイクルされていないのです。
その中でも日本のリサイクル率は高いと言われていますが、回収したプラごみの7割以上は燃やしています。
焼却方法のサーマルリサイクルをリサイクルの位置付けなのでリサイクル率が高いと言われています。
ですが、欧米基準ではサーマルリサイクルはリサイクルという位置付けではないので、
日本のリサイクル率はそれほど高くないのかもしれません。
では、モノ→モノのマテリアルリサイクルを増やせばいいのではないか?と思いますが様々な問題が生じるのです。
「コスト・人材・劣化の問題」
廃プラスチック製品が新品のプラスチック製品に生まれ変わることは0%ではないですがコストがかなりかかります。
新品のプラスチック製品に生まれ変わらせるということは?
汚れや不純物を無くさなければいけない→リサイクル過程で不純物が混ざってしまい品質が落ち、消費者は買ってくれなくなる→結果リサイクルではなく、新しいプラスチック製品が作られる。
また、プラスチックは劣化していくので、何度も新品のリサイクル製品に生まれ変わらせることは難しいのです。
しかもプラスチックにはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど様々な種類があり、同じ材質を集めなければいけないのです。
例えば、ポリエチレンを原料とした製品はポリエチレンからしか作れないので、回収したごちゃごちゃに混ざった廃プラスチックの中から材質別に分けなければいけません。
日本では人が手作業で仕分けするのが一般的なのでたくさんの人材が必要です。
「汚れの問題」
プラスチックには食品容器も多いです。
食品容器に付いた油や食べかすの汚れはリサイクルの天敵「不純物」です。
まず汚れをきれいに取るところから始めないといけませんが、プラスチックは油をくっつける性質があり、は取れにくいです。
毎日大量に出る食品容器を隅々まできれいに洗浄することは難しく、結果的にリサイクルされずに焼却や埋め立て処理に回されます。
リサイクルはごみを出すところから始まっています。
きちんと分別して出来るだけきれいにして出すように心がけましょう。
まとめ
プラごみ問題の現状と対策ついて以下のようにまとめました。
・プラごみの現状は私達が街にポイ捨てしたごみが様々な影響を受け、海に流れ、そのプラごみを食べた魚たちを私達が食べて体に悪影響を及ぼす。
・プラごみを減らすために私達にできることは、マイバッグや水筒の持参・詰め替え用の洗剤等を使用・プラごみの分別など、すぐに取り入れられることから始めましょう。
・リサイクル方法は、主に「モノ→モノへ再利用されるマテリアルリサイクル」、「モノ→熱へと変わるケミカルリサイクル」、「モノ→エネルギーへ変わるサーマルリサイクル」の3つに分けられる。
・リサイクルされているのはほんの一部で世界的見ると実は約90%はリサイクルされて
いないのです。その中でも日本は回収したプラごみの7割以上を燃やしています。
軽くて丈夫で便利なプラスチック素材は生活の中では欠かせない存在でたくさん使ってきた方は多いのではないでしょうか。
そんなプラスチックが今地球を危機に追い込んでいる存在になっています。
プラスチックを無くすことは無理に等しいと思いますが、皆さん1人1人の協力で減らすことはできます。
プラスチック素材を使っているものに限らず、モノを買う時に「本当に必要なのか?」、「長く使えるか?」と一度立ち止まって考え、‶捨てる″という頻度を減らすことが大切だと思います。