ダイエットや体調管理をするうえで必須になってくるのが、「糖質と脂質の制限」です。
糖質と脂質はどちらも体に必要なエネルギー源で重要な栄養素ですが、摂取しすぎると肥満や糖尿病の原因になります。
私たちは知らず知らずのうちに糖質や脂質を多く摂りすぎて、体に悪影響を及ぼしているかもしれません。
健康的なダイエットや無理のない体調管理ができるように「糖質と脂質」そして、どちらを優先して制限した方がいいのか解説していきます。
糖質とは
糖質とは、炭水化物・タンパク質・脂質の3大栄養素のうちの炭水化物の一部で、人間にとって必要不可欠で最も重要な栄養素です。
炭水化物は糖質と食物繊維の2つから成り立っているので「糖質=炭水化物」ということではありません。
糖質には様々な種類の糖から構成されており、2重3重構造になっています。
糖の種類
糖には甘い糖と甘くない糖の2種類あり、名称も違います。
・甘味を感じる糖 … 糖類
・甘味を感じない糖 … 糖質
「糖質」というカテゴリーの中に糖類が含まれているイメージです。
ざっくりと種類分けするとこのようなイメージですが、糖質と糖類をさらに深掘りすると、もっとより多くの様々な物質(糖)で構成されております。
糖の種類別説明の表
| 糖の種類 | 糖を構成している主な物質(糖) | 性質 | |
糖質 | 糖類 | 単糖類 | ブドウ糖(グルコース) 果糖(フルクトース) ガラクトース | ・水に溶けやすい ・消化吸収が早い ・食べてから短時間でエネルギーになる ・甘味がある |
糖質 | 糖類
| 二糖類
| マルトース(麦芽糖) スクロース(ショ糖=砂糖) ラクロース(乳糖) | ・消化吸収と食べてからエネルギーになる時間は単糖の次に早い ・甘味がある |
糖質 |
| 少糖類 (オリゴ糖) | ラフィノース マルトトリオース (単糖が3~10個ほど結合したもの) | ・消化吸収されず、大腸まで届く ・ビフィズス菌を増やす ・虫歯を防いでくれる ・糖として吸収されない為、血糖値を上げない |
糖質 | 多糖類 | デキストリン、デンプン グリコーゲン | ・水に溶ける ・消化吸収がゆっくり ・腹持ちがいい | |
糖質 | 糖アルコール | キシリトール マルチトール | ・消化吸収されにくい ・低カロリー ・菌が繁殖しにくいので品質保持しやすい ・虫歯の原因になりにくい |
食品を買う前に品質表示をチェックしてみてください。
📝ポイント
糖質の中で最も重要な役割なのがブドウ糖(グルコース)です!ブドウ糖は血液中を流れており、体中にエネルギー源を届けてくれます。
また、ブドウ糖は脳にエネルギーを届けてくれる唯一の糖です。
そんなブドウ糖は自然界で最も多く、単体で活動できる糖ですが、他の物質と仲良くなり、違う糖になることもできます。これを「グリコシド結合」といいます。つまり、ブドウ糖は一人行動が得意な八方美人なのです。
例:
・グルコース + グルコース = マルトース(麦芽糖)
・グルコース + フルクトース = スクロース(ショ糖)
・グルコース + ガラクトース = ラクトース(乳糖)
二糖類になる
ブドウ糖は色々な物質と結合して違う糖になることで色々な性質を活かすことができます。
また、人間の体の中で一番エネルギーを使う脳は、1日に約20%もエネルギーが必要で、1時間あたり4gものブドウ糖が消費されています。
勉強中に甘いものが食べたくなるのは、ブドウ糖を欲しているということだったんですね。
⇩こちら糖質について分かりやすい解説動画です。
脂質とは
脂質とは炭水化物、タンパク質と並ぶ三大栄養素の1つです。脂質は、糖とタンパク質の1gあたり4kcalと比べて1gあたり9kcalのエネルギーをもっており、三大栄養素の中で1番カロリーが高く体内にかなり多く蓄えられています。
そもそも脂質は脂肪酸というものからできております。脂肪酸とは脂質の主要な構成要素で脂肪酸が他の様々な物質と結合することで脂質を形成しています。
脂肪酸(脂質)の種類
脂肪酸の種類によって脂質の性質が変わってきます。
脂肪酸は『飽和脂肪酸』と『不飽和脂肪酸』の2種類に大きく分けられます。
さらに『不飽和脂肪酸』は「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」「トランス脂肪酸」に分けられています。
脂肪酸の種類別説明の表
種類 | 性質 | |
飽和脂肪酸 | ・主に常温で固体 ・酸化されにくい ・摂取しすぎると悪玉コレステロールや中性脂肪が 増える→心疾患のリスクが高まる | |
不飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪 | ・常温で液体 ・悪玉コレステロールや血液中の余分な中性脂肪を減らす→血液を減らす ・血液をサラサラにしてくれる ・心疾患のリスクを減らす ・油から取り入れるほか体内でも合成される |
| 多価不飽和脂肪
| ・常温で液体 ・悪玉コレステロールや血液中の余分な中性脂肪を減らす→血液を減らす ・血液をサラサラにしてくれる ・心疾患のリスクを減らす ・人の体内で作ることができない ・必須脂肪酸 |
トランス脂肪酸
| ・植物油に水素を加えた工業的に製造された脂質 ・悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす ・動脈硬化による心疾患のリスクを高める |
脂質は「脂っこくて体に悪い」というイメージを持つ人は多いと思いますが、
不飽和脂肪酸の一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸は体や健康に良い脂質ですね。
📝ポイント
良質な油はどのような食物から摂取すれば良いのか、体に良くない油を含む食物は何のかを知っておきましょう。
体に良い油
・「一価不飽和脂肪酸」…オリーブオイル、菜種油、アボカド、タラ肝油、イワシ油
・「多価不飽和脂肪酸」…青魚油、植物油(トウモロコシ油、大豆油、サラダ油)、
クルミ、えごま
体に良くない油
・「飽和脂肪酸」…肉類の脂肪、バター、ラード、生クリーム、ケーキ、チョコレート
・「トランス脂肪酸」…マーガリン、ショートニング(クッキーやドーナツ)、パン、ケーキ、カップ麺、スナック菓子
⇩こちら脂質について分かりやすい解説動画です。
ダイエットや体調管理をするなら糖質を控える?脂質を控える?
ダイエットや体調を管理するうえで、糖質と脂質どちらを控えた方がいいのか考えたとき、カロリーの高い脂質を控えた方がいいと思うところですよね。
私たちのお腹についているその〝脂肪″はじつは脂質ではなく糖質です。
糖質をいかに上手く抑えるのかが重要になってきます。
糖質のメカニズム
口から入れた糖質(炭水化物)はブドウ糖に分解される
⇩
小腸から吸収され、肝臓に取り込まれる
⇩
一部は血液中に放出され、組織に運ばれる(この血液中の糖質が「グルコース(血糖)」)
⇩
エネルギーとして利用される
しかし!!!
口から入れた糖質が体の貯蔵量と体が必要とするエネルギー量をオーバーすると...
⇩
グルコースはどんどん脂肪組織に運ばれて、脂肪として合成される
※糖質は総カロリーの6割を超えないようにしましょう。
さらに!!!
食事で糖質を摂り血糖値が上がると...
⇩
膵臓から血糖値を下げるために「インスリン」というホルモンが分泌される
⇩
このインスリンは血液中の糖分を脂肪に変えて体にため込む働きがある
※血糖値がゆるやかに上昇するのであれば問題ないのですが、
急激に上昇するとインスリンは過剰に分泌され、体に脂肪をため込みやすくなる。
糖質の負の影響
血糖値の急激な上げ下げは、眠くなったり、気持ちがイライラしたりと精神を不安定にさせる
⇩
・眠くなると集中力が低下し、脳が働かなくなる
・イライラすると、脳はさらに糖質を欲する
⇩
心身の負のスパイラルを招く
⚠血糖値のこの「上げ⤴下げ⤵」の働きが体に負荷をかけ、「糖尿病・血管の病気・免疫力の低下・倦怠感・うつ症状」などの原因になる。
⇩こちら糖質と脂質のメカニズムを分かりやすく比較している動画です。
日頃気づかず糖質を摂取している食品
糖質が低いだろうと思って食べていたものも「意外と糖質が高かった!」なんてことも。
どんな食品で糖質が多いのか見ていきましょう。
糖質の多い食品
穀物・いも類・果物
白米、ゆでうどん、ゆでそば、パスタ、食パン、さつまいも、カボチャ、じゃがいも、里芋、パイナップル、リンゴ、バナナ、オレンジ、ブドウ、ドライフルーツ など
その他
あんこ、どら焼き、ケーキ、せんべい、大福、ポテトチップス、クラッカー、伊達巻、にんじん、ごぼう、ケチャップ など
飲み物
ビール、日本酒、野菜ジュース、オレンジジュース、コーラ など
糖質の少ない食品
穀物・いも類・果物
玄米、雑穀米、ライ麦パン、こんにゃく、イチゴ、アボカド など
その他
プレーンヨーグルト、卵、枝豆、水煮大豆、野菜類(ごぼう、にんじん以外)、きのこ類、海藻類、人工甘味料、ツナ缶、プロセスチーズ、焼きさんま など
糖質の多い主食や美味しい麺類、別腹のスイーツ、仕事終わりのビールまでいきなり全て控えるということはストレスになります。
まずは、
・白米を玄米に変える
・パンをライ麦パンに変える
・食事は糖質の少ない食品から食べて急激な血糖値上昇を抑える
・お酒を赤ワインに変える
・ビールや日本酒は週に1回にする
など生活に取り入れやすいことから糖質を抑えていきましょう。
まとめ
・糖質とは「炭水化物・タンパク質・脂質の3大栄養素のうちの炭水化物の一部」で、炭水化物-食物繊維=糖質 で人間にとって必要なエネルギー源。
・脂質とは炭水化物、タンパク質と並ぶ三大栄養素の1つ。三大栄養素の中で1番カロリーが高く体内にかなり多く蓄えられている。
・ダイエットや体調管理をするうえでは、脂肪になりやすい「糖質」をいかに抑えるかが重要。
・日頃気づかず糖質を摂取している食品は、主食の白米や麺類、イモ類、甘い果物など、知らずに食べていた食品もある。
糖質と脂質を理解することで今後のダイエットや体調管理をより良くしていきたいですね。どちらも人間にとって大事なエネルギー源ですので、過度の制限だけは控えましょう。