現在、日本でヴィーガンは徐々に浸透している中、新たに「プラントベース」という言葉が注目されてきています。
どちらも完全菜食主義なのでは??と思う人は多いと思いますが実は、ヴィーガンとプラントベースは似ているようで考え方や目的は違うのです。
ヴィーガンのようにライフスタイルに取り入れられるようになった「プラントベース」は一体何なのか調べてみました。
ヴィーガンとは?
ヴィーガンとは1944年にイギリスでヴィーガン協会が設立した際に、設立者ドナルド・ワトソン氏が「Vegetarian(ベジタリアン)」を短縮して命名した言葉です。
ヴィーガン協会ではヴィーガニズムという『不可能でない限りで動物の搾取を避けるべきであるという主義』という定義を掲げています。このヴィーガニズムに同意し、動物の搾取を終わらせることを願い、理想に近い生活を努めている人をヴィーガンと言います。
肉類を避ける(卵、乳製品、蜂蜜はOK)菜食主義者のベジタリアンに比べ、動物性全般を避ける完全菜食主義者がヴィーガンです。ヴィーガンの主な目的は動物愛護です。
動物愛護のヴィーガンについて
動物愛護は「人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守るということにあります。動物を利用するからには敬意を表して、できるだけ大切に扱う」ということ
軸にある考え方です。
・動物が好きな人
・動物も人間の命と同じように大切にするべき
・食肉処理の現実を知ってお肉を食べる気がなくなった
・ファッションや娯楽のために動物を利用するべきではない
など「動物の命を大事にしたい、残酷な屠殺を無くしてほしい」という動物愛護の考え方で、その理由がきっかけでヴィーガンになる人は多いでしょう。
◇動物を利用している商品
〚食事〛・・・ 肉類、魚介類、乳製品、卵、蜂蜜、食品加工時に動物性食品使用しているもの など
〚衣類〛・・・ 革製品、ファー、ウール など
〚娯楽〛・・・ 動物園、水族館、サーカス など
〚動物実験〛・・・ 化粧品、洗剤、石鹸、シャンプー、歯磨き粉 など
動物愛護のヴィーガンの人は動物が利用されているものは、可能であれば全て避けて生活しています。
◇動物を利用している商品の代替商品
〚食事〛
・肉 → 大豆ミート、セイタン(グルテンミート)、テンペ など
・魚介類 → アヒミ(トマトを使用した疑似マグロ)、ウナミ(茄子を使用した疑似うなぎ)、豆から出来たツナ、代替エビ(主に海藻を使用) など
・乳製品 → 豆乳、豆乳ヨーグルト、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ソイチーズ、発酵豆乳入りマーガリン など
・卵 → ヴィーガンエッグ
・調味料 →昆布出汁、野菜出汁、しいたけ出汁、てんさい糖、メープルシロップ、スパイス など
※ジャンクフードヴィーガン
オレオ、ポテトチップス(植物性油)、ヴィーガンケーキ、ヴィーガンアイス、ヴィーガンハンバーガー、ヴィーガンソーセージなどを、「ジャンクフードヴィーガン」といいます。
健康のためやダイエット目的のヴィーガンはもちろんたくさんいますが、主な目的は動物愛護ですので、健康は二の次になるということもあります。
〚衣類〛
・革製品 →ヴィーガンレザー、人工皮革
・ファー → ヴィーガンファー、人工ファー
・ウール →植物由来の天然繊維、人工繊維
〚娯楽〛
行かない
〚動物実験〛
・コスメ類全般 → 「動物実験していない」というウサギの承認マークがある商品
最近では、トレンドとされているSDGsの影響でヴィーガンレストランやヴィーガン商品を取り扱っているスーパー、アパレル業界やコスメ業界でもヴィーガン商品は増えてきており、若い世代も積極的に取り入れるようになっています。
プラントベースとは?
プラントベースとはPlant(植物)Based(由来)と言葉の通り、植物由来原料からつくられた食品をより多く積極的に取り入れる食事法です。人間の体に一番利益があるという研究結果も出ている健康的な食事法です。
プラントベースの本当の名称は「whole food」、「plant based diet」この2つの言葉を略して「WFPB」と呼ばれています。
「whole food」は「丸ごと」という意味で化学成分が入っていなく、加工されていない自然成分そのまま丸ごとという意味です。
プラントベースの主な目的は健康や環境保護です。
プランベースとヴィーガンの違い
プラントベースとヴィーガンこの2つの違いは、「目的」です。プラントベースとヴィーガンはそれぞれ定義や何のために行うかの目的が違うので、摂取する食べ物や、生活上で使う物、考え方や意識なども違ってきます。
◇プラントベースとヴィーガンのそれぞれの目的と考え方
◦プラントベース・・・健康のため、環境保護➡「積極的に植物性食品を摂取しよう」
◦ヴィーガン・・・動物愛護、宗教➡「動物の搾取を終わらせよう」
上記の図を見てみると、プラントベースとヴィーガンの共通する目的は「環境保護」と「動物愛護」ですね。しかし、「環境保護」の方が2つの共通スペースを多く占めており、「動物愛護」はヴィーガンゾーン寄りです。
これはヴィーガンも「環境保護」の意識が高いが、プラントベースは「動物愛護」の意識をメインにはしていない、ということです。
📝point
プラントベースは身体のためや環境問題の考え方など「個人の意識」にフォーカスしているのに対して、ヴィーガンは動物愛護や宗教など「社会的な意識」にフォーカスしています。
◇プラントベースとヴィーガンの摂取していいもの
プラントベース | ヴィーガン | |
肉 | × | × |
魚 | × | × |
乳製品 | △ | × |
卵 | △ | × |
ハチミツ | △ | × |
野菜 | 〇 | 〇 |
穀物 | 〇 | 〇 |
プラントベースはヴィーガンほど食べ物制限は厳しくないです。また、プラントベースは健康意識が高いのでシャンクフードヴィーガンのような食べ物は食べることは滅多にないでしょう。
プラントベースは「1日1食だけ・週1だけ」など自分のペースで取り入れられる、この緩さが人気の理由の1つです。
📝point
モノの制限もヴィーガンに比べると厳しくなく、革製品や動物実験されているコスメも使用してOKです。
最近増えている「竹歯ブラシ」や「竹素材の服」なども積極的に植物を取り入れているのでプラントベースの商品とされています。
プラントベースを耳にするようになった理由
ベジタリアンやヴィーガンに続き、「プラントベース」という食事スタイルが日本でも注目され、広まっているのはなぜでしょうか。
その理由として、➀健康志向の向上、②環境保護の向上 が挙げられます。
◇理由➀ 健康志向の向上
近年の健康志向の人が増加しているのには様々な背景があります
〚2019年末からの新型コロナウイルスの流行〛
コロナの流行で、手洗いうがいや消毒などの感染対策の大切さに気づき、感染防止のため
不要不急の外出を控え、家で過ごす人が増えました。
その影響もあり、
・規則正しい生活を心がける人や健康的な身体づくりをする人が増加
・免疫力を上げるために健康的な食事を摂るようになった
・家に居る時間が長くなり、食生活を見直す人が増えた
などコロナきっかけで健康志向になった人は確実に増えているでしょう。
〚SNS・動画コンテンツの普及〛
今は情報がいつでもどこでも何にでもすぐに得られる時代で、
健康に関する情報はSNSやYouTubeを利用すればすぐに情報を得られます。
セミナーやヨガ教室など足を運んで情報を得たり、実践することは頭に入りやすく身に付きやすいこともありますが、SNSや動画コンテンツには様々なメリットがあります。
・すぐに情報を得られる
・無料で提供してくれる
・リモートでヨガ教室やセミナーが行われている
・室内でできる
・時間や場所を問わない
・コロナ感染リスクを避けられる
などのメリットがあり、今の時代に合った多様性な使い方で情報を得られます。
ですが、情報が溢れすぎて間違った知識を身につけないように、何が正しい情報なのかを見極める力を養うことも大切です!!
〚少子高齢化〛
日本では1997年には子どもの数が高齢者より少なくなり、少子高齢化の社会になりました。
少子高齢化は健康意識も変化させます。
・国民1人にかかる医療負担も増加し、将来の不安から健康な身体づくりをするが増加
・将来保障できるほどの年金が配布されるか分からないので、働けるように健康的な身体を
維持させる
・介護や老人ホームは高額なお金が必要になってくるから
今は「平均寿命を延ばすこと」から「健康寿命を延ばすこと」への考え方も変化してきています。
◇理由② 環境保護の向上
環境問題に対しての意識は特に最近になって高くなってきているのは、SDGsの影響が大きいかと思われます。
今、世界中の人口は約78億人いて、2050年には約97億人になることが判明し、「貧困民が今よりもっと多くなり、食料危機に陥り、異常気象を引き起こすようになる」と世界全体で危機的な状況になりつつあり、そうなる前に環境の改善をしようとする意識を持つようになりました。
そんな環境問題に畜産業が大きく関わっています。
〚畜産がもたらす地球温暖化〛
地球温暖化とは気温が上昇したり、地球全体の気候が変化することですよね。その地球温暖化を進めさせている原因の1つとして、「牛や豚のゲップとおなら」が挙げられています。
牛や豚のゲップとおならに含まれる「メタン」というガスは温室効果ガスの1つで、牛のゲップと国内で走る車のCO₂と同じくらいの温室効果ガス排出量だといわれています。
そもそも温室効果ガスは、太陽からの熱を吸収するためのガスで、地球にとって必要なガスなんです。
温室効果ガスが増えると...
・大気中残る熱が増加し、気温が上昇する
・北極、南極や標高の高い地域ほど気温の上昇率は高くなる
・異常気象の発生する頻度が高まったり、嵐が巨大化する恐れがある
・伝染病を媒介する虫が今までに発生したことない地域にも生息域を広げる可能性もある
など、温室効果ガスは地球にとって必要不可欠なガスな地球温暖化になります。
地球温暖化の進行を止めるためにも家畜を減らすことは重要なポイントですね。
〚畜産がもたらす環境と貧困問題〛
私たちが1㎏のお肉を食べるために必要な穀物の量は6㎏です。この穀物とは家畜のエサです。家畜を育てる為に、「大量の水、エネルギー、穀物、広大な土地」が必要です。
家畜を減らすと...
・節水になり、野菜や果物など他の農業に使える
・穀物(エサ)の土地確保のための森林伐採が減少し、生き物や自然を守れる
・広大な土地を家畜のための食べ物より貧困民のための食べ物をつくる土地にできる
・糞尿の処理や臭い、環境汚染が減少する
など環境や貧困の問題の解決にも少なからず繋がってきます。
⇩地球環境と家畜について分かりやすい動画を貼っておきます。
企業で取り組んでいるプラントフード
今、SDGsに貢献できるように、プラントフードに取り組んでいる企業は多くなってきています。
代表的な企業を3つご紹介します。
◇IKEA
IKEAといえばスウェーデン発の低価格でオシャレな家具屋さんですよね。
家具以外にも敷地内にレストランがあり、フードも豊富なのがIKEAの魅力の1つです。
そのレストランにプラントベースフードも販売されています!
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〚メニュー〛
・マッシュポテトなどが添えてあるプラントボール(ミートボールのようなもの)8個
¥499
・プラントカツカレー ¥499
・プラントロールキャベツ ¥299
・プラントケバブサラダ ¥499
・べジラップサンド ¥200
・プラントチョコレートムース ¥299
・ベジチーズドッグ ¥150
・プラントベースケバブツンブロード ¥500
※一部変更している可能性アリ
◇カゴメ
野菜ジュースやトマトケチャップで有名なカゴメからもプラントフードが
販売されています!
カゴメ プラントベース
2/9(水)
人気の商品を紹介♪
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カゴメ プラントベース シリーズ
🍛3種豆のベジタブルカレー
🍛大豆ミートのほうれん草カレー
🍛大豆ミートのキーマカレー
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植物素材で作ったレトルトカレーです。
中でもキーマカレーは『お客さまが選んだベスト23コンクール』第5位!
ボーナスポイントも付くよ! pic.twitter.com/KZYEElPw4Z— サミットストア大泉学園店 (@311summit) February 9, 2022
〚商品ラインナップ〛
・ベジミートボールのマサラカレー
・大豆ミートのほうれん草カレー
・大豆ミートのキーマカレー
・三種豆のベジタブルカレー
・ベジミートボールのトマトソース
・彩り野菜と大豆ミートのアラビアータ
・根菜と大豆ミートのボロネーゼ
・きのこ豆乳クリーム
価格は大体¥300~¥400
(ホームページには価格は記載されていなかったので、確実な価格は分かりませんが、
他のサイトに一部載っていたので参考にしました。)
◇2foods
「健康とおいしさを両立する」ことをコンセプトにしている企業です。
若者のエシカル消費に着目し、ヘルシージャンクフードを販売しています。
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植物性原材料で作られた卵サンド美味しそうですね。
〚メニュー〛
・ドーナツ
・まぜそば
・カレー
・チキン南蛮丼
・サラダ
・コールドプレスジュース
・ソフトドリンク
・ラテ
・ガトーショコラ
・プリン
・ソフトクリーム
など、メインフードやドリンク、スイーツまで60種類以上のメニューがあり、2foodsは国内のプラントフード店の中でも屈指のメニューの多さです。
⇩詳しいメニュー一覧です。
店舗メニュー一覧|2foods(トゥーフーズ)
まとめ
・ヴィーガンとは主に「動物愛護」を目的とし、動物の搾取を終わらすために活動している完全菜食主義者を指します。
・プラントベースフードとは主に「健康や環境保護」を目的とし、積極的に植物性の食品を摂取することです。
・プラントベースフードを耳にするようになった理由は健康志向環境保護の意識が高まっているからです。
・プラントベースフードに取り組んでいる代表的な3つの企業は「IKEA」、「カゴメ」、「2foods」です。
プラントベースフードの注目度はさらに高くなり、より身近なものになる時代がすぐそこまできています。
私たちの意識の変化とともに、より良い方向へと進んでいくといいですね。